<犬が怪我をしてしまった>
怪我や健康状態の悪化やに対しては、素人療法は禁物で日ごろ提携関係にある獣医師の処置に任せるべきです。診断書をお客様にみせきちんとご説明ができるようにしましょう。
フリーのスペースでお預かりをするという以上、ワンちゃんが自由に走って遊び、転んだりぶつかったりして自分で怪我をすることもあり得ます。自由に遊んでいる故の不測の事態であり完全に防ぐことは不可能であることを、お客様にも理解していただく努力が必要です。
実際に怪我をしてしまったらすぐにお客様にご連絡の上で提携関係にある動物病院に連れて行き処置してもらいましょう。こういう場合の移動方法、その間の他のワンちゃんの管理体制まで考慮しておくことが重要です。
<犬を逃がしてしまった>
絶対にあってはならないのですが、それでも時々おこります。犬は野生の本能を持ち続けている動物です。イザという時には普段は見せない信じられない力とスピードを発揮したりします。ホテルのドアを2重・3重にしておくのは当然ですが、それでも別のお客様が入って来たタイミングなどで一瞬の隙をつき逃走する子もいます。お散歩中に急に現れた車やクラクションの音、犬の鳴き声に驚いて突然勢いよく走り出す・・などということも起こります。どんなに大人しい良い子でもお散歩時のリードはしっかりと手首に巻き絶対に離さないように気を引き締めて持ちましょう。いつも穏やかな犬でも何かあると信じられない力を発揮しますので注意は必要です。扱いに自身のない方は、基本トレーニングの研修を受けていただくと良いと思います。難しいトレーニングはできなくても、基本の犬の扱い方をプロのトレーナーから学ぶだけで大分余裕がでてくるものです。リードの持ち方、犬の歩かせ方、扱い方、犬の動きの予測、そしてもし逃げられたら時の対処方法など、常に考え注意深く散歩に連れて行く事が重要です。

もし本当に逃がしてしまったら・・もちろん見えている間はとにかく捕まえることに全力を注ぐしかありません。自分だけで走ってもまず無理ですから近くにいる方に声をかけ協力を頼みましょう。そもそも走って追いかけてはいけないのは基本ですね。捕まえることができずもし見えなくなってしまったら、とにかく探しながら即座にお客様にご連絡、逃がしてしまった場所をお話ししてどこに逃げる可能性があるかのご相談をするべきです。そのまま自宅に戻ってしまう子もいれば好きな場所に行ってしまう子、お散歩コースを一人で回る子、様々ですがとにかく見つけるまであらゆる手段で探し続けるしかありません。本格的に捜索を始める際には警察、保健所への届けをはじめ、動物保護施設への照会等も必要です。
<お客様が日程通りに帰ってこない(帰って来れない)>
お預かりのときに注意しておかなければならないのが、お客様の行き先が海外なのか国内なのかをお聞きすることです。国内でも離島でしたら注意が必要です。なんらかの事情で帰りの飛行機が飛ばず、お客様が予定通りに帰って来れないケースが多々あるからです。帰って来れない事でお泊まりを延長してくださいとの連絡が入る事は多いものです。
もし帰ってこられなかったら・・お電話やメールで延長のご依頼があった場合は追加の料金などの確認を取った上でご帰宅されるまでのお世話をしましょう。もしも連絡がとれなかったら・・例えばパリに出張されているお客様がいて、パリでテロがあり連絡もなかったら・・お電話やメールなどでお戻りになっているか確認をしても全く連絡が取れなかった場合、、、連絡がとれるまで待っているしかないというのが実情です。
またあまり考えたくはないことですが、犬の処遇に困った「愛犬家?」がペットホテルに預け引き取りにこない・・という事態があります。これほど処置に困る事態はありません。この場合最初にいただいた住所がすべて嘘だった・・ということも有り得ます。必ず預かる時に狂犬病の注射接種の証明証や鑑札の住所を確認しましょう。
もし引き取りに来てもらえなくても・・まずはワンちゃん猫ちゃんの安全と健康が第一、ひたすらご連絡をお待ちするしかありません。ホテルの契約書には通常「連絡なくお引き取りがない場合・・」という文言がありますが、これは悪質ないやがらせなどに対抗するための保険であり一般のお客様にすぐに適応するようなものではありません。それでもし自分の愛犬が1頭増えることになってしまったとしても・・・・最終的にそれがペットホテルの主人たる者の覚悟と言えるのかもしれませんね。
<仕事をえらぶ>
複数のワンちゃんを責任をもってお預かりするからには、一頭一頭のワンちゃんの状態を良く知り、他のワンちゃんにご迷惑をかけることになる可能性のある子をお断りしなければいけない事態もでてきます。スペースに余裕があり何頭もそれぞれ隔離してお預かりできる設備があれば無理もきけますが、ご自宅の範囲内で営業されていたりする場合には「暴れん坊くん」にはご遠慮頂かなければいけないこともあるでしょう。全てのワンちゃんの安全と安心のために、時には心を鬼にすることも必要です。
何かあった時の保険金のことなどを最初から細かく聞いてきたり、引き取りに行かなかったらどうなるのかなどを聞いて来たり、、「ん?」と思ったお客様のご依頼を無理にお受けすることはありません。言葉は悪いですが、数千円の仕事でトラブルに巻き込まれたりお店の名前に泥をぬるような事態は避けたいですね。電話で少しおかしいなと違和感を感じたら、お断りしたり、他の業者さんに仕事を振ったりすることを考えてもよいでしょう。
<災害があったら(地震)>
災害、、、大きなものですと1995年の阪神淡路大震災、2011年に東日本大震災、2016年熊本地震。
これくらいの災害になると、ホテルも仕事どころではなくなるのが実情です。
交通機関も機能しない状況でスタッフ自身の安全もままならないという状況も考えられます。
その現状下でどこまでプロ意識をもって行動できるのか。
事前に様々な事態を想定し、契約書のなかで伝えておかなければならない事といえます。