<生体販売のトラブル>

・売り手市場=ブリーダー優位

近年つづくペットブームも手伝って、ブリーダーとペットショプの間にはブリーダー優位、つまり「売り手市場」の状況が続いています。
現物主義と言う取引ルールがこの業界の不変の掟となっており、ペットショップが消費者のクレームを聞いても、ブリーダーはペットショップのクレームを聞かないという悪しき習慣がこの業界の特色の根源となっています。
さまざまなトラブルに際し、この特色で泣くことになるのは常に生体販売業者です。

・健康面のトラブル

生体販売に関するトラブルの主要なものは、販売後の生体の健康に関するものです。商材として生体を扱う以上、これを回避することはできません。お客様は当然「販売した側の」ショップ(私たち)にクレームを申し立ててきますが、このトラブルの原因はブリーダーに由来するケースがほとんどと言っても過言ではありません。軽い寄生虫くらいでしたら謝罪し薬をのませ様子をみていただけば解決しますが、治しようのない遺伝病、対処のしようがない先天性の疾患など、どうしても「謝っても済まない」問題が出てきます。

例えもとをたどればブリーダーに責任があったとしても、100%その責任は販売者が取らねばなりません。(悲しいことですが)業界の慣例としては、ブリーダーから子犬を仕入れた(引き受けた)時点で、その生体を仕入れた販売者に全ての責任が移行しています。もし(知らずに)病気の犬を仕入れてしまったのだとしたら、それはその販売者の「目利き」能力の低さと見なされます。昔は「10匹ころして1人前」などと平気で言われた業界です。「一目で生体の健康状態を見抜き、悪い状態の生体は仕入れない。」その境地に至るまでに何年も何十年もかかるということです。本当にムズかしいことですが、「生体を仕入れる」というコトはペット販売業の基本中の基本であり、商売成功の鍵はココにすべてあります。とにかく慎重に、万全の準備をして仕入れに臨まなければなりません。一番の対策は「本当に信用できるブリーダー以外からは仕入れない」ということに尽きます。

・血統書未着のトラブル

健康面のトラブルに続き、次に多いトラブルは血統書に関するものです。血統書は(業界内に於ける位置付けはともかくとして、)消費者にとっては重要な書類です。ペットショップは「血統書がこないならこの犬は雑種だ!代金を返せ」などというクレームをお客様から受ける事も少なくないのです。

一般的に(だいぶ改善はされてきていますが)ブリーダーから生体を仕入れた場合、血統書は生体と同時にはもらえずに「2週間くらい待ってね」と言われることが多いです。大体は数週間で送られてきて、それをお客様にお届けすればそれで済むのですが、時々いつまでたっても血統書が届かないことがあります。当然お客様は販売者に催促してきますので、ブリーダーに早く送ってくれるよう頼むしかないわけですが、再三の督促にもかかわらず交付してもらえないケースも・・。これは明らかにブリーダーの怠慢であり問題なのですが、そのブリーダーが他で問題を起こしていたり血統書団体と揉めていたり、血統書団体に借金(ツケ)があったりすると、永遠に血統書を発行してもらえない可能性が出てきますので要注意です。

このトラブルにも有効な解決策はありません。新しいブリーダーと付き合う際にはよくよく他の業者やブリーダーに話を聞くなどし、独自に「信用調査」を行うしかないでしょう。生体販売業者は、血統書が申請してから2週間で交付される「事実」を知っていながらも「血統書の手続きは数ヶ月かかる」などと消費者に説明して急場をしのでいるのが現状です。

・金銭のトラブル

最近、増加しているトラブルとして、ペットのクレジット販売に関するものがあります。
クレジット販売と金銭消費貸借との違いについて明確な認識が必要になります。

<ペットとPL法>

PL法(製造物責任法)は、製造物に対する製造者の責任を明確にする法律ですが、ペットビジネスに於ける生体が製造物に当たるかのどうか、の問題がクローズアップされています。PL法では製造物とは「製造または加工された動産」と定義されており、家畜の飼育や水産物の養殖などによって生産されたものはPL法に該当しないという見解が示されています。これに対し、現在の家畜繁殖や農水産物の生産は高度な化学、工業技術を駆使することによって成り立っており、自然産物とすえるには当たらず製造物とすべき、との意見も多くなっています。実際に農業では「作物」、ペット業界では子犬の「作出」と言う言葉が普通に使われていて、概念的には自然産物よりも製造物としての認識が強いのです。

現行の生体販売では、消費者とのトラブルに際し、販売者は民法570条の瑕ひ担保責任を負う事になります。多くの生体販売業者は瑕ひ担保責任者免除を特約とした文章などを交付して営業を行っていますが、実際にトラブルが発生した場合は、ほとんどの業者が柔軟な対応をしているのが現状です。