<開業準備>
・地域性について
生体販売に関して言えば、店舗での陳列販売にこだわらない限り、お客様の地域に限定は必要ありません。むしろ全国を相手に販売していくのが主流と言えます。「店舗」を選ばないのであれば、逆に都心である必要もなく、どんな地方でも展開の仕方によっては可能なビジネスと言えます。
都心部のワンルームマンションで生体ネット販売を手がけていらっしゃる方もいれば、地方の畑に囲まれた静かでのどかな場所で、ブリーディングしながら全国相手に子犬を販売してらっしゃる方もいる、十人十色のスタイルが選べるのが良いところでしょう。
トリミングサロンに行くのに片道1時間以上かけていくお客様はなかなかいらっしゃらないものですが、これから家族に迎える子犬子猫を迎えに行くためならば、新幹線や飛行機に乗ってでも、数時間ドライブすることになっても、足を運ぼうと思う方は沢山いらっしゃいます。
「ここでなければ生体は売れない」という場所はそうありません。むしろ全国区で視野を広く持ち、「ここでこんな売り方をしているからこそ、この生体が売れる」という場所を作って行くことを目指しましょう。
もちろん本拠地を決めたなら、その地域の環境にあったイメージの作り方、販売の仕方を十分に考える必要があります。
・料金設定について
生体の料金については「相場」はありません。柴犬1頭とっても、3万円のものから100万円のものまで、ピンキリで存在します。ご自身の価格設定についても、営業スタイルや理念により、よく検討が必要です。全国区で販売をしていく場合、近所の競合(既に営業している生体販売業者)の生体価格設定にそんなに左右されることはありません。むしろ絶対的な自社の理念と「そのためにこの価格になります」という価格設定を明確に打ち出し、それを上手にアピールしていくことが大切です。

同じ一杯のコーヒーでも、コンビニで買えば100円、ドトールで飲めば220円、スターバックスなら302円、高級ホテルのラウンジで飲めば1200円です。ご自身が販売する「柴犬」がどの価値にあるべきものなのかをよく検討しましょう。

また販売価格によって「仕入れ」自体が大幅に変わってくることも忘れてはなりません。どんなブリーダーと付き合うか(付き合うことが可能か)はどれくらいの価格で販売できるか、と密接に関わる問題です。

例えば柴犬を5万円で販売したいのであれば・・  仕入れは2万円以下に抑えたいところです。(もしくは自分で柴犬を繁殖することになります)  2万円で柴犬を卸してくれるブリーダーを探すしかありません。たまには掘り出し物もあるでしょうが、大体は「安かろう悪かろう」という生体になるでしょう。
柴犬を20万円で販売したいのであれば・・できれば仕入れは5~6万円、最大でも10万以下に抑えましょう。金額が上がることにより仕入れの幅は広がります。もし2万円で仕入れることができたら(その犬が20万円で販売しても許されるレベルのものであれば)18万円の利益があがります。なるべく安く仕入れて無難な価格で売る・・仕入れ手腕の見せ所です。
柴犬を50万円で販売したいのであれば・・20万程度で販売されている他の子犬達との差を出すためには、それなりの仕入れを心がけないといけません。それなりのブリーダーを確保し健康面はもちろんのこと、遺伝病や血統にも配慮した仕入れが必要となってきます。ただし仕入れにもそれなりの金額を出すことができますので、余裕のある取引が可能です。

柴犬を100万円で販売したいのであれば・・当然ながら、それなりの仕入れをし、それなりの子犬を引き渡さないといけません。高くても最高の子犬を出してくれるブリーダーを確保し、チャンピオン血統などにもこだわることになるでしょう。大変な作業にはなりますが、2万円の仕入れで5万円で売っていることを考えれば、何十倍の時間をかけてでも制約させるべき、価値ある取引になります。
・ブリーダーとのパイプが全てを左右する
自分で繁殖した生体を販売する場合をのぞき、生体販売の成功を握るのは「どんなブリーダーから仕入れるか」の1点であると言えます。
よい関係を築けるブリーダーをみつけ、誠意をこめてお付き合いをし、よりよい生体を分けてもらえるように努力することが全てといえます。
パイプ作りは一朝一夕にできることではありませんが、時間をかけ取り組んでいく姿勢が必要です。