<ドッグトレーナーの難しさ・ドッグトレーナーに必要な力>
数あるペットサービス業の中でもとりわけ「お客様との関わり方が難しい」のがドッグトレーナーの仕事といえます。
意識の高いペット愛好家が子犬を飼育し始めたと同時にパピートレーニングを申し込んできてくれたのだとしたら、これは一番「ラクな」お客様といえますが、実際の現場では正直いってそんな理想的なお客様はほとんどいないのが現状です。

それではどんなお客様が一番多いでしょうか?

「自分の愛犬に問題行動が出てから」
「初めてしつけの難しさを思い知り」
「いろいろ試してはみたけれどどうしようもなく」
「焦って」
「トレーナーを探して連絡してくる」

というのが一番よくあるパターンのお客様の姿といえます。

結果的に愛犬に問題行動が出たということは、そのお客様のその日までの飼育方法(しつけ)に何かしらの問題があったと言わざるを得ません。
つまり端的に言ってしまえば「お客様の態度」を何かしら改めてもらわない限り、「お客様のワンちゃん」の問題行動はなくならないのです。問題行動がなおらなければトレーナーに頼んだ意味はありませんから、もし「問題行動がなおらなかったら」 = 「この人は役に立たないドッグトレーナーである」という評価をされることになります。ここがドッグトレーナーの辛いところです。
つまりお客様は(ご本人にはそんな意識は全くないのですが)ドッグトレーナーに対して「私の態度をなおしてください」と依頼してきているようなものなのです。そこを理解していただくまでにはとても時間がかかるのが普通です。最後まで分かってくださらないお客様もいます。

普通の方は
「犬の問題行動を直して欲しかっただけで」
「別に私の行動に文句をつけて欲しかったわけではないわ」
「なんでそんなことを言われなきゃいけないの?」
「黙って犬だけトレーニングしなおしてくれればいいのよ」
と考えます。

そもそも家庭犬のドッグトレーナーは「愛犬家に犬のしつけの仕方を伝授する」のが一番の役目ですが、お客様は大抵最初は「自分の代わりに愛犬をしつけてくれる人だ」と思っているのが普通です。
その誤解を解くところから始め、愛犬の問題行動には原因があり、その原因は飼い主にあるという事実を理解していただくのが「ドッグトレーナーの仕事の全て」と言ってもいいほど大切なことなのです。
では、
そのためには何が必要でしょうか?それは『お客様との対話力』なのです。
職業人としての「プロフェッショナルドッグトレーナー」には、何よりもお客様との対話力が必要です。もちろんその前提として、ドッグトレーナーとしての基礎知識は絶対必要です。
ここをよく理解し、開業の心構えとしてください。