ペットシッターのお仕事とは?優しい気持ちで犬ちゃん猫ちゃんに接すること…そんなイメージでしょうか?
正解です!
実は一度犬を飼ったことがある、猫を飼っているというレベルの方なら誰でも出来る仕事なのです。
簡単に言えば犬好き・猫好きの方がとにかくワンちゃん・ネコちゃんを可愛がるだけ、その上でお客様の要望に応えればいいだけの仕事です。お客様がやって欲しいこと、いつもペット達にやっていることをそっくりそのまま真似すればいいのです。そこに新しい知識は要りません。トレーナーのように犬をしつけする為の経験も判断力も要りませんし、トリマーのようにトリミングする技術も経験も不要です。家賃を払ってお店を構える必要もありません。
「トレーナーになるには自信がないし、子供がいるから学校に通って技術を学ぶのは難しい」けど、「犬や猫が好きでペットの仕事をやってみたい」という方は沢山いらっしゃると思います。更に「仕事だけど、できれば彼らに触れて癒されたい!それでお金がもらえたら最高!」なんて方もいらっしゃると思います。
そんな方はペットシッターに向いていますよ。そんな考えが正解なんだと思います。ガッッツリ稼ぎたい!!!となると話は別ですが…(ですが、真面目に頑張ればそれも夢ではないかも!!)

もちろんトレーナーの資格・経験があったら尚更お客様に対する信頼度は増します。
でも経験からいうと…ペットシッターは優しい気持ちで、お客様の希望を聞いてあげる!本当にお手伝いさんのような感覚です。時にはお客様のワガママもあるかもしれません。犬のお世話をするというより、お部屋の片付けの方が多いかもしれません。それでもそんなサービスが気持ちよくできる人が向いていると思います。

ペットシッターのお仕事で忘れてはいけない特徴が、鍵をお預かりしてお客様の不在時にお家を預かるということです。更に、大切なペット達をお預かりするのです。よく考えたら怖いことです。『ミスの許されない仕事』といえます。
鍵をお預かりするコンシェルジュの意識、お客様のプライバシーさえも預けてもらえる信頼を得ることが重要だと思います。それをどのように証明するのか…とても難しいことです。それをカバーするのが、動物取扱業の証明書だったり、PACという後ろ盾だったりするのだと思います。それによって私たちは安心してペットシッターの仕事を始められるのです。
「独立して憧れていた自分のお店をもって、誰かが喜んでくれる仕事をしたい!」「自分の大好きな犬や猫に癒されながらお客様のお役に立てたら…」なんて夢が実現するのです。

私がシッターをはじめて8年、最初はペットシッターという職業自体がまだあまり認知されておらず、依頼なんてあるのかな~?と自分でも思っていました。しかし、お客様はペットシッターの仕事を求めていました。

ネコちゃんのシッター話をまずしたいと思います。
お客様は出張が多く家を空けることが多かったのですが、1週間ペットホテルに預けて、帰ってきた自分のネコちゃんに対面して愕然としたそうです。
声は嗄れ、ニャーといった声は声になっていなかったそうです。涙が出てきたと言っていました。毎日毎日、鳴き続け、ご飯も食べず、ガリガリになって帰ってきたそうです。
それからはホテルに預けることは不可能となり、ペットシッターのような仕事(当時はそんな名前も知らなかったそうです)を探していたと仰っていました。

それからというもの、そのお客様は私との出会いで旅に出ることが出来るようになり、大好きな韓流を追いかけ、韓国に3ヶ月に1回お出かけされるようになりました。私のお仕事がなかったらそのお客様は趣味も諦めていたのか、そのネコちゃんは命がけでペットホテルに預けられていたのかと思うと、ペットシッターってやはり必要とされるお仕事であるのだと確信しました。
ちなみに、上記の命がけとは大げさな…とお思いになられたかもしれませんが、ネコちゃんは特にテリトリーを重視する動物です。
環境が変わることでストレスにより脱毛、体調を崩し食欲不振、周りに犬や他の動物の臭い、鳴き声による寝不足、狭いケージに入れられての生活…それだけ考えても命がけと思います。私がペットシッター歴8年間でお世話した150件以上のお客様の半数はネコちゃんです。
ペットシッターといったら、ワンちゃんをお散歩して、遊んであげて、ご飯をあげるイメージがとても大きいと思いますが、実はネコちゃんの方がペットッシッターを必要としているのかもしれません。実際に、キャットシッターという猫に特化したシッターさんもいらっしゃいます。ネコちゃんが大好きでワンちゃんは少し苦手……という方は、キャットシッターとしてネコちゃんに特化したお仕事を始められるのもいいと思います。

私は犬も猫も大好きです。猫を飼ったことが一度もないという方は多いかもしれません。人が苦手な子は姿を見せない子もいれば、遠くから見ている子もいます。その為、ネコちゃんはお世話する上で特に大変なことはありません。シッターはオシッコ・ウンチをしているか、ご飯を食べているか、元気な姿はあるかの確認をし、トイレの掃除とご飯・お水を新しい物に代え、お部屋のお掃除、環境を整えるだけです。この場合、人が苦手な子に無理矢理構ったり、遊ぼうと追いかけ回したりはいけません。反対にネコちゃんにストレスを与え、シッターとしては不合格です。

しかし、猫も犬化しているなーと最近思います。人が大好きで、寂しがりや、とにかく撫でていてもらいたい…シッター中、ずっと側を離れないというネコちゃんが増えてきているように思います。そしてそのためにネコちゃんを毎日のように可愛がり、撫でたり遊んだりしていた為に、急に猫アレルギーになってしまったということがあります。
ペットシッターが猫アレルギー…とてもじゃないですが、ネコちゃんのシッターを続けることは難しいでしょう。猫アレルギーは継続的に猫の毛を吸い続けたり粘膜に触れていたりすると、その物質に感作されて発症することがあるそうです。ですがそれくらいネコちゃんのご依頼は多くなっているということです。

結局、そのネコちゃんのお客様は7年間のお付き合いをさせていただいています。私たちがペットシッターを始めたころは値段も定まっておらず、シッター料金に加え、交通費に出張費などいただいていて、他社と比べるとだいぶ高い金額設定になっています。
しかし、他のお手頃な金額のシッターさんに代えることなく、私たちを選んでくださっている理由はなんなのでしょうか。信頼と安心で繋がっているのだと思います。ペットシッターはそれが一番であり、それに代わる物がないということだと思います。成果ではないのです。見守って、優しさで包んで現状維持!を貫く。それだけです。やはり、トリマーやトレーナーとは違った特殊なお仕事ですよね。

そのお客様は鍵も長年お預かりしたままですし、親戚のお姉さんのように仲良くしてくれて慕っています。私の出産のときも妊娠中も気遣ってくださり、子供にも沢山のお土産をくださったり、お食事にもよくお誘いいただきます。
このような関係のお客様は稀ですが、これくらい仲良くなっても私が気をつけていること・考えること。それは、あくまでもお客様はお金を払って私たちを雇っているということ、私たちはプロであるということです。
常に初めてお会いしたときの関係を崩さず、言葉遣い、お世話する姿勢、対応の丁寧さを変えていないことです。いつも緊張感をもち続けるってとても難しいことではあります。しかし何度も会ったり、お世話することになれて自分のネコちゃんのように親しくなっても、決して気を抜くことはありません。それが出来ているからこそ、今私がペットシッターを続けていられるのだと思います。そんなお客様との繋がりが楽しく思えることもシッターの楽しみかもしれません。

「気の抜けない仕事」といいましたが、気を抜かず継続して出来ているのあれば、お預かりした鍵をなくすことも、鍵を閉め忘れることも、ペットを事故に遭わすことも、家具に傷つけることもないのではないでしょうか。何事も同じと思いますが、ペットシッターをやっていて一番怖い時期というのがあります。件数をこなし、お客様との打ち合わせにも緊張しなくなってくる1年くらいの時期が危ないです。危ないとは…ミスを犯すということです。私も小さいミスは何度もあります。人間ですから。しかし、それは毎回猛省して気持ちを正すきっかけにしています。小さなミスをした時に気の緩みに気がつき、大きなミスを起こさないように回避出来るといいですね。

1回のシッター料金が3,000~4,000円で、1日に伺えるお客様は多くて4件。お客様のお宅に伺うのだって時間はかかりますし、夏場は歩き疲れて疲労困憊です。そしてもし犬がお散歩中に逃げちゃった・怪我をさせてしまったら……勿論お金は頂けません。そしてペットシッターとしての肩書きに傷もつきます。地元中心に活動されている方ですと、噂話は一気に広まるでしょう。

そう考えると、私たちは割りに合わない仕事をしているような気がしてくることもあるかもしれません(笑)
数千円の為にお客様の鍵をお預かりし、なくしてはいけないという責任感とプレッシャー。自分には何も覚えがないことに対してクレームを入れられ、自分のせいにされた…そんなことだってあります。
そんな理不尽なことが起こり挫けそうになることがあっても思い止まって今でも続けているのか…それはやはり犬達・猫達が優しいからです。可愛いからです。結局、そこに行き着くのでです。私はお世話をした犬や猫達にどんなに癒されてたことか、そして助けられたことか…。

これからも、そんなペットシッターという仕事を皆さんと楽しみたいと思います。

ペットシッター仲間での話って聞いていて面白いですよ。自分のシッターしている子の写真を見せ合って「〇〇ちゃん(くん)はこんなに可愛いんだから!」の自慢話になるのです。沢山の体験談や心に残るような出会い、病気のことや最新犬猫情報…話し出すと止まりません。
皆様もPACの一員になり、仲間達とそんな話が沢山出来れば楽しいなと思っています。