| インターネットは特定の物販業者の業態を大きく進化させる力を持っていますが、逆に在来の商法を低迷させることもあります。
ペット業界の中でもとりわけ「生体の販売」は利幅が大きいですが、このことを可能にしていたのは、生体の生産者(ブリーダー)と消費者の間に情報交換の手段がなかったからです。
インターネット普及のスピードはきわめて早く、既にあらゆる子犬の情報を消費者に提供するところまできています。月間数万部程度発行の愛犬雑誌とは比較にならない規模の情報がインターネット上で飛び交っているのです。ブリーダーによる情報発信はさらに加速しており「生ませた人から育てる人へ」子犬を譲渡する通信直売のホームページが増加していっています。
ペット関連業界でいち早くインターネットを活用して成果を挙げたのは、動物関係の専門学校です。
募集対象生徒の世代がインターネット世代と一致していたこともあってか、インターネット無しでの生徒募集は考えられないところまできていました。インターネット市場の特性は、目的のホームページへ到達する検索の過程でその商品やサービスに適合した消費者に絞って広告することが可能な点です。
双方向特性によって販売者と消費者が直接深い関係で繋がりを持つことのできる構造がインターネットです。
しかも印刷媒体とは比較にならない安い費用で、早く・正確に商品情報を伝達できるのがインターネット上の消費者市場なのです。インターネットの世帯普及率は日本で商用サービスが開始されてからわずか5年で10%を達成しました。
ある機器の世帯普及率が10%を超えるまでに、電話が76年、ファックスが19年、携帯電話でさえ15年かかっている事実から見れば、インターネットを取り巻く環境がいかに急成長したかが分かります。
ペットショップの開店には多くの資金を必要とし、開店後も人件費など継続して経費の支出が伴います。
かつ開店地域の事情が業績を左右し、自店を中心とした限られた地域での展開を余儀なくされます。
ホームページ公開による通販ビジネスの開業では、初期費用・維持費用共に極めて安価であり、全国域を対象としたビジネス展開が可能で、公開者の住所地の問題は営業成果に影響しません。
インターネットの特性である双方向性は、ペットのように同じものが2つとない商材の紹介に向いています。
インターネットのホームページには、特別な技術を要さず、子犬の写真を簡単に貼り付けて即時に公開することができます。専門誌に出稿していた時代は1ヵ月前の締め切りに合わせていたことに比べると、夢のような進歩です。
しかも専門誌による販促広告は、その商品を必要としない多くの消費者を含む不特定の読者に対して高額な費用を費やして商品の紹介を行うものでした。
インターネットの特性である、目的を持った消費者が目的のホームページへ到達する検索システムになっていることで必要としている消費者にダイレクトに広告することができる点です。
ブリーダーが産出した子犬の写真をホームページに貼り付け、消費者に公開するという新しいペット流通の形態は、確実に消費者の支持を受けます。
ペットを求める消費者は迷わずコンピューターに向かい、モニター画面の中に家族となる子犬の候補を見付けることになります。インターネットの普及は誰も予測しなかったペット流通の変化をもたらしたのです。
ペットの生体販売のみならず、ペット事業者は近未来のペット流通の有りようを冷静に予測しなければならなりません。少なくともインターネットに背を向けることは許されない現状なのです。
|