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特別コラム

古賀コラム(27)クラフトドッグショー

毎年3月、イギリスはバーミンガムという場所で世界最高峰と言われる由緒あるドッグショーが開かれます。その名も「CRUFT」。訪れる人は約12万人、ドッグショーに参加する犬の数はおよそ200犬種30000頭。出陳犬は世界中から集まるまさに世界最大の犬の祭典。今日はこのクラフトにおける犬&人間ウォッチ報告を・・

イギリスと言えばヨークシャーテリア、他の犬種と違い犬の出陳者は赤いビロード張りの「お犬台」を持参し用意しています。ヨーキーだけは昔からの伝統で必ずそのMyお犬台にワンコを載せて審査を受けるのです。ヨーキーの光沢ある絹の様なスチールブルータンの被毛、お顔の上に輝くリボンが赤いビロードの上でキラメき幻想的な感じさえ受けます。イギリスでショーを見るなら是非見て頂きたい光景です。もちろんリングを囲むお客様方も「ザ・イギリス」という感じ、、エリザベス女王みたいな方が沢山、、(笑)。

おやおや、今リングでは上品なおばあちゃんがマルチーズを引いて歩いていますが・・ん?どっちがどっちを引いているのかな?本来は颯爽とリングを走り美しい純白の毛並みが風になびき氷の上を滑るような歩様を見せつけるシーンなのですが、、、おばあちゃんの危なっかしい歩みにお客様の目はドキドキ釘付けです。しつけの行き届いたマルチーズはもちろんおばあちゃんを待ってシズシズゆっくり歩いています。全然犬の歩様は分からないけれど・・そこは紳士の国イギリス。審査員も笑顔で見守っていますね。
ご存知のように今や日本やアメリカではドッグショーは1つのショービジネスとして確立されており、大きなドッグショーで犬を引いて歩く(走る)のはプロの「ハンドラー」であることの方が多いのですが、、ここは愛犬家の国イギリス。ほとんどの犬は「飼主さん」が自分で連れて歩いています。颯爽と歩けない飼主さんも当然存在しますが、世界最高と言われるドッグショーでありながら、とにかく飼主優先。個人的な条件など全く不利にならないのが素敵なところです。

会場のあちこちに沢山のブースがあり沢山の犬達が待機しています。この準備ブースとショーリングを含める全ての場所に何の囲いもないのがまたこのショーの楽しい所。出陳者と観覧者の間には一切の垣根がありません。つまりこれから出陳される由緒正しいオイヌ様のグルーミング準備風景は、会場に居る誰もが普通に目にする事ができますし、写真をとったりお話ししたり触ったりすることも・・もちろん飼主さんが許してくれれば可能。
みんな飼主さんが自分でグルーミングをしていますから、、トリミング技術もそれなりのモノがとっても多い。それもご愛嬌。。。

ここの準備ブースでは美しいゴールデンレトリバーがズラリ300頭並んで・・いや実に壮観です。ゴールデンだけで300頭も居るなんてスゴイ!と感動していたら係のお兄さんに笑われました、「ここに居るのはオスだけだよ」と。。犬種によっては性別ごとに分けてまず審査があるので、まずはオスだけで300頭だったのです、、ああ恐るべしレトリバー大国。

美しいスコッチテリアが準備グルーミング中だったので写真を撮らせて欲しいなと近づいて行ったら、、何やら飼主さんがこちらを見て手を止めました。ああ怒られるのかな、と様子を伺うと、、オウ!マイプレジャー!と写真のためにポージングをしてくれています。私も見たいから今度送ってくれ!とメールアドレスまでメモしてくれましたよ。これがアメリカの少し大きなドッグショーならば、その写真をどこに使うのか、使用料は幾らか、肖像権は、、などとうるさいのが常識なのですが。このフレンドリーな飼主気質がイギリスの愛犬家の全てを表していると言えるでしょう。

世界最大の犬の祭典でいつも感じるこの愛犬家の包容力と底力、見習いたいものだといつも思います。イギリス犬文化、その深みにまだまだ日本は着いて行けていないようです。。。